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プレス情報

2020年11月21日
プレス情報-右前頭葉腫瘍に対する覚醒下手術は高次脳機能温存と腫瘍摘出率の向上を両立させる

当科の中田教授の新着論文の情報です。「Awake surgery for right frontal lobe glioma can preserve visuospatial cognition and spatial working memory」というタイトルでJournal of Neuro-Oncologyに掲載されました。本論文の要旨が到着致しましたので掲載いたします。

従来,右前頭葉は言語や視覚といった古典的な機能領域が存在しないことから,脳腫瘍摘出術においてその脳機能温存にほとんど注意が払われてきませんでした.そんな中,私たちは,右前頭葉手術後,明らかな麻痺や失語といった障害がないにも関わらず,社会生活に上手く適応できず,家庭・社会復帰ができない患者さんが多いことに気付きました.そこで,金沢大学ではこれまでよく知られていなかった右前頭葉機能を解明するとともに,その高次脳機能を温存するための覚醒下手術に挑んできました.覚醒下手術において重要なのは,脳機能温存と腫瘍学的観点からの摘出のバランスです.しかし,脳機能を温存しようとすれば,その領域を摘出できなくなることは事実であり,右前頭葉に対する覚醒下手術は摘出率を下げるのではないか懸念する声もあります.

本論文は,右前頭葉機能のうち,特に視空間認知機能と作業記憶に着目し,覚醒下マッピングを行った群と行っていない群に分けて摘出率と慢性期の機能的予後を調べました.その結果,摘出率は覚醒下マッピングによる機能温存を図った群とそうでない群の間に有意差はない,つまり覚醒下手術による機能温存は摘出率を下げないことが分かりました.また,覚醒下マッピングを行った群は行っていない群よりも慢性期に障害を来す確率が有意に低いことが明らかになりました.

本研究結果が右前頭葉に対する覚醒下手術の有用性を世間に広く浸透させる一助となることを期待しています.