対象疾患と治療
脳の内視鏡手術 (神経内視鏡手術)
脳の病気も内視鏡で治療できます
内視鏡といえば胃カメラなどを思い浮かぶかもしれませんが、脳も内視鏡で治療できる病気があります。当院では神経内視鏡学会の技術認定医が中心となり、内視鏡を使った脳の手術を数多く行っています。ここでは代表的な脳の内視鏡手術についてご紹介します。
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脳で使われる内視鏡
大事な脳を傷つけないように胃カメラなどの内視鏡より細い。
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神経内視鏡による手術風景
モニターを見ながら行う
内視鏡で治療できる病気① 水頭症
水頭症とは脳の中にある水(脳脊髄液)が溜まりすぎて、頭痛や嘔吐、ひどくなると意識障害なども引き起こします。原因は小児期に起こる先天的なものもあれば、脳腫瘍や脳出血など様々です。水頭症の治療は脳脊髄液が貯留している脳室に細い管を入れ、お腹まで管を通すシャント手術が主流でした。しかし、医療の発達により水頭症の原因によっては内視鏡で治療できるものもあります。
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(左図)健康な人の脳CT断面
(右図)水頭症の患者さんの脳: 脳室に水が貯留
水頭症の中でも水の流れが詰まる閉塞性水頭症に対しては、内視鏡による手術で別な水の流れ道を作り、治すことができます。
① 内視鏡を水が貯留した脳室まで進めます。
② 内視鏡から道具を出して安全な場所に穴をあけます。
③ 穴から溜まった脳脊髄液が流れ、水頭症が治りました。
内視鏡で治療できる病気② 脳腫瘍
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鼻から内視鏡を挿入し、奥にある腫瘍を取り除く(イメージ)
脳腫瘍の中でも鼻の奥の場所にできる下垂体腫瘍や頭蓋底腫瘍は、最も内視鏡手術の効果を発揮します。なぜなら、頭の骨をあける開頭手術ではなく、鼻から内視鏡を通して手術 (経鼻手術) ができるからです。よって外から傷は全く見えません。当院でも内視鏡による経鼻手術を数多く実施しています。
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脳下垂体にできた腫瘍(下垂体腺腫):内視鏡で取り除かれている