日々のこと
2025年09月16日
アメリカ・ニューヨーク研修
研修医2年目の谷内です。金沢大学附属病院の初期研修医プログラムの一環として、08/16〜08/31の2週間、アメリカ・ニューヨーク研修に参加しましたのでご報告します。
ニューヨークの北郊外に位置するHartsdaleで、東京海上記念診療所(Mount Sinai Doctors-Japanese Medical Practice)で研修してきました。一般内科に加え小児科・老年医学をカバーしており、小児〜成人患者を院長のMaki Kano先生、成人〜高齢患者をHirokazu Ban先生が担当されていました。患者層は主に日本人駐在員・家族・旅行者でありますが、現地在住のアメリカ人患者もクリニックに受診されておりました。
クリニックには診察室が4室あり、それぞれに患者さんを待機させ、医師の方から診察室に向かうという、日本とは逆の形式でした。Kano先生が日本語・英語をうまく状況に応じて使い分けながら、患者さんとフランクにコミュニケーションを交わしていました。Ban先生と患者をともに診察しました。患者はご家族が皆海外在住で近くに身寄りがない重度のうつ病患者でした。患者は精神的に弱っており、Ban先生は患者さんの話しを傾聴、共感していました。医師の患者に対するEmpathy(共感的態度)が重要視されるのはアメリカでも日本でも一緒でした。簡単なフレーズでは“I’m sorry to hear that.”(それを聞いてお気の毒に思います。)”That sounds hard.”(大変でしたね。)、長いものでは”I can see that this has been very difficult for you.”(とても大変だったこと、お察しします。)“I understand why you would feel that way.”(そのように感じられるのは当然だと思います。)など、馴染みのない英語で練習が必要だと思いました。
また、今回特に印象的だったのが「カルテ」です。アメリカではEpic社のカルテが最大シェアで、クリニックでも導入されていました。以下のような多彩な機能があります。
- Epic Chat:LINEのような医師・看護師とのチャット機能。病棟からの電話対応や対診書が不要。
- Care Everywhere:外部病院のカルテなどを閲覧する機能。診療情報提供書が不要。
- Smart Phrase:Objectiveデータのテンプレート機能。自由にカスタマイズ可能で、必要なバイタルや検査所見などが自動入力される。
- Care gap report:ワクチン接種歴などの年齢相応の検査が行われているかを確認できる。
- Haiku:スマホから電子カルテにアクセス出来るアプリ。
- リモートアクセス:自分のパソコンから電子カルテにアクセス出来る。在宅でのカルテ記載やオーダーが可能。
- 電子処方箋:ほとんどの州で電子処方箋が主流。紙の処方箋が不要。
などなど… 徹底的に業務の効率化を計っており、衝撃を受けました。
最近はAI技術の発達により自動でカルテや書類を作成してくれる機能や、ディクテーション機能を用いて、問診中にカルテを書かずとも勝手に文章化してくれるなど、日本のものと比較して2歩も3歩も先を行っていると感じました。日本でも近い将来に導入されることを願います。
クリニックでの研修に当たり、お忙しい中貴重なお時間を頂き、ご指導下さったMaki Kano先生、Hirokazu Ban先生を始めスタッフの方々に深く御礼申し上げます。有難うございました。
谷内 譜顕