先輩の声
外科系専門コースのロールモデル~初期研修から後期研修まで~
平成30年度卒業の白浜翔平と申します。現在は医師3年目として市中病院で脳神経外科医として働いています。日々分からないことにぶつかりながらも、日々精進の精神で頑張っています。まだまだ未熟ではありますが、脳神経外科に興味のある方にとって少しでも参考になればと思います。
私は学生時代から脳神経外科に興味があり、低学年の頃には将来は脳神経外科に入ろうとぼんやりと思っていました。実習が始まり、脳神経外科を回った際に専門コースというものがあることを知りました。金沢大学の専門コースは初期研修の中で目指す科を主軸に研修できるのが特徴です。
現在の初期研修制度は基本的にはスーパーローテートの形を取っていて、初期研修でいろいろな科を回ってみて自分に合う科を見つけることはもちろん重要ですが、自分の進みたい科が決まっている場合は専門コースには大きなメリットがあると思います。
1つめは「初期研修のうちから脳神経外科の専門的治療を勉強できること」です。専門コースは大学での研修から始まり、1人の戦力(というのもおこがましいとは思いますが…)として、日々の臨床に参加することができます。実際に働いている先生方と非常に近い距離で、病棟管理や治療を学ぶことができ、将来の自分と重ね合わせ、モチベーションが上がります。もちろん最初のうちは知識や経験も多くないため何もできず、悔しい思いはありますが、先生方にご指導いただきながら乗り切れたと思います。
2つめは「自分の意識も周りの人の意識も変わること」です。初期研修で各科をローテートする場合、多くても1つ2~3か月が限度と思いますが、その限られた期間で何を学ぶのかは重要だと思います。研修の忙しさでついつい漫然と過ごしてしまうこともあります。専門コースに入り、自分の中で目指すべき目標があれば、同じ症例を経験しても、「脳神経外科に進む上で何か得られる知識はないか」という着眼点を持って研修できるのではないでしょうか。私も実際の研修で、「肺炎に対する抗生剤の使い方」「便秘症に対する緩下剤の使い方」「寝たきりの患者で気を付けるべき内科的疾患とその対策」などに関して内科をローテートした際に指導医からアドバイスをいただきました。さらに指導医の先生方も脳神経外科に進むことを知っているので、それを踏まえた指導をしてくださり非常に助かりました。
私は脳神経外科専門コースに入り、2年間の初期研修のうち15か月を大学病院で、9か月を市中病院で行いました。専門コースとはいうものの、脳神経外科だけでなく、内科や救急科、麻酔科や精神科と比較的多岐にわたって研修を行うことができました。私は専門コースを選んでよかったと思います。
現在は市中病院で勤務していますが、少しずつ執刀の機会をいただきながら修行中です。脳神経外科の手術といっても、非常に専門的なものから、若手でも執刀できるものまで多岐にわたります。脳神経外科だからといって若いうちは全然手術ができないということはないと思います。興味のある方は気軽に脳神経外科の門戸をたたいてくださると嬉しいです。