来院される方

対象疾患と治療

こどもの脳や神経の病気

お子さんの脳の病気は生まれてすぐ分かるもの(先天性)もあれば、成長してから見つかるものもあります。当院では大学病院としての使命を果たすべく、小児神経外科学会の認定医が中心となり、手術を行っています。また、小児科を含め他科の先生方と連携しながら治療に当たります。ここでは当科で治療する代表的なお子さんの脳や神経の病気を紹介します。

先天性水頭症

脳の中には水(脳脊髄液)が流れています。先天性水頭症は生まれつき脳脊髄液が上手く循環せずに過度に溜まり、脳を圧迫し発達障害を招きます。いろいろな原因で水頭症を発症しますが、お母さんのお腹の中にいるときに妊婦検診(超音波検査)でみつかることもあります。貯留した脳脊髄液を細い管を通じてお腹の中に流してあげるシャント手術を行います。

シャント手術をしたお子さんのレントゲン写真

脊髄髄膜瘤

この病気は背骨の中に通る神経(脊髄)が生まれつき上手く形成されない病気です。特に腰の脊髄にできやすく、皮膚の異常(欠損)も伴うため、生まれたときに診断されます。写真のような重度の場合は生まれてすぐに手術が必要になります。当院ではできるだけ皮膚もきれいに修復するため、形成外科と合同で手術を行います。上手く手術しても残念ながら神経の障害が残るため、足が動かないことや尿や便が上手く排泄できなくなり、特別な訓練が必要になります。また、先天性水頭症も合併しやすく、先述した治療が必要になります。

(右) 脊髄髄膜瘤のお子さんの背中。
(左) 脊髄髄膜瘤のお子さんの腰部MRI

キアリ奇形

この病気は頭の後の部分なる小脳の形態異常により起こります。小脳の一部が下に向かって落ち込むようになります(下垂といいます)。約半数に脊髄の異常(脊髄空洞症)を伴うことがあります。このため頭痛や手のしびれなどを訴えます。また、側弯症(背骨が曲がる)を伴うこともあり、学校検診で側弯症を指摘され、これを契機にキアリ奇形がみつかることがあります。後頭部の骨を一部削除することで、後頭部の容積が広がり、小脳の下垂が緩和され、症状が軽減します。

合併する側弯症のレントゲン

キアリ奇形のお子さんの頚部のMRI画像