金沢大学脳神経外科

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研究分野

脳腫瘍グループ

悪性グリオーマ包囲網脳腫瘍グループでは、主に悪性脳腫瘍であるグリオーマ(神経膠腫―しんけいこうしゅ―)について研究を行っています。
私たちの研究コンセプトは、グリオーマの根治を達成するために計画された「悪性グリオーマ包囲網」により成り立っています。具体的な研究内容について説明します。

 悪性脳腫瘍のバイオマーカーの探索

悪性脳腫瘍の治療成績を改善させる究極の方法は無症状の状態での“早期発見”です。
一般の検診で血液検査により消化器がんや前立腺がんが見つかる場合がありますが、それらのがんでは腫瘍マーカーが血中に存在し、血液検査で容易にがんを発見できます。
しかし、悪性グリオーマには前立腺がんや肝臓癌のような早期診断に有用な腫瘍マーカーがありません。
悪性脳腫瘍を早期発見できた場合、外科的にほぼ病変を取り去ることが可能となる場合もあります。
そこで我々は腫瘍のみならず髄液・血液に対して、タンパク質を網羅的に検索する技術(プロテオミクス)を用い、膠芽腫の早期発見に有用なマーカーの確立を目指しています。
マーカーがあれば、画像所見と合わせて、より正確な病勢判断もできると考えられます。(熊本大学生命科学研究部微生物薬学分野 大槻純男教授グループとの共同研究)

悪性脳腫瘍の生物学的特性に基づく分子標的薬を用いた新たなテイラーメイド治療の開発

悪性脳腫瘍の治療は、手術による可及的摘出、術後の放射線治療および従来の化学療法を組み合わせた総合的治療によってもここ約半世紀の間、著明な予後の改善を認めていません。

分子標的薬を使用した脳腫瘍に対する新しい治療法の確立一方、脳腫瘍の生物学特性は20世紀後半からの分子生物学の目覚ましい発展に伴い、徐々に解明されてきています。様々なファクターの相互作用により個々の腫瘍の増殖・浸潤がコントロールされていることが判明してきました。また、近年、細胞増殖などに関連する様々なシグナル因子を標的とした分子標的薬が開発され、その効果が実際の臨床においても確認されてきています。
我々は手術により摘出した悪性脳腫瘍を分子生物学的手法を駆使し、DNA、RNA、およびProteinのレベルで解析(プロテオミクス)を行い、個々の腫瘍に特徴的な因子の発現プロファイルを作成しています。これらの発現プロファイルに基づき、個々の腫瘍により効果的と考えられる分子標的薬を用いたテイラーメイド治療の確立を目指しています。

 既存薬を用いたGSK3β標的治療

金沢大学がん進展研究所腫瘍制御分野 源利成教授グループとの共同研究の結果、悪性グリオーマにおいてグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(glycogen synthase kinase 3β:GSK3β)が腫瘍の増殖・浸潤に深く関与していることをつきとめました。この成果をもとにGSK3βの活性阻害効果をもつ既存薬を悪性脳腫瘍治療に応用する研究をすすめています。悪性グリオーマに対する新たな分子標的治療の速やかな応用が可能となると期待されます。

GSK3β阻害作用を有する既存医薬品

革新的プロテオミクスを用いた悪性グリオーマのバイオマーカー探索

悪性グリオーマには前立腺がんや肝臓癌のような早期診断に有用な腫瘍マーカーがありません。患者様から検査のため採取した血液や脳脊髄液の一部を革新的プロテオミクスという手法を用いて解析し、早期診断や病勢の把握に役立つ腫瘍マーカーの同定を試みています(熊本大学生命科学研究部微生物薬学分野 大槻純男教授グループとの共同研究)。

ベバシズマブによる悪性グリオーマにおけるシグナル変化の解明

ベバシズマブ(アバスチン®)は2013年6月より悪性グリオーマに対する新たな治療薬として保険適応となりました。患者様の生活の質(Quality of Life: QOL)を維持する上で有効であり本邦でも多くの施設で使用されています。一方で、ベバシズマブが一部の悪性グリオーマ症例で浸潤を促進する可能性が示唆されています。我々は下記に述べる独自に開発した浸潤グリオーマ細胞同定法を用いて、そのメカニズムの解明に取り組んでいます。

グリオーマ幹細胞に対して抗腫瘍効果を有する既存薬のスクリーニング

癌をはじめとする悪性腫瘍では「がん幹細胞」の存在が明らかとなっています。悪性グリオーマにおいても幹細胞が次々と同定されています。我々はがん進展制御研究所遺伝子・染色体構築研究分野 平尾敦教授グループと協力して同研究グループが保有するグリオーマ幹細胞を用いて抗腫瘍効果を有する既存薬の探索を行っています。すでに数種類の薬剤が候補として挙がっており臨床応用への可能性を検討しています。

癌をはじめとする悪性腫瘍では「がん幹細胞」の存在が明らかとなっています。悪性グリオーマにおいても幹細胞が次々と同定されています。我々はがん進展制御研究所遺伝子・染色体構築研究分野 平尾敦教授グループと協力して同研究グループが保有するグリオーマ幹細胞を用いて抗腫瘍効果を有する既存薬の探索を行っています。すでに数種類の薬剤が候補として挙がっており臨床応用への可能性を検討しています。

グリオーマ浸潤のメカニズムの解明

グリオーマが難治であるのは、しみ込むように腫瘍が成長する「浸潤」に原因があります。手術で完全に腫瘍を摘出することができたと思っていても、ミクロレベルでさらに遠くまで腫瘍細胞が「浸潤」しており、再発の温床となります。この「浸潤」のメカニズム解明の手がかりとして我々はephrin-Eph系というシグナル分子に着目し、研究をすすめています。

IDH1免疫染色から導き出される新知見

他の悪性腫瘍と同様、グリオーマにおいても種々の遺伝子異常がわかっています。その中でもイソクエン酸脱水素酵素1(isocitrate dehydrogenase 1; IDH1)の変異はグリオーマに特徴的に起こっています。我々は、東北大学医学系研究科地域イノベーション分野 加藤幸成教授グループが開発した変異型IDH1を認識する抗体を用いて浸潤グリオーマ細胞を同定することに成功しました。この成果を上記のプロジェクトに応用しています。

グリオーマ幹細胞株の樹立

当科オリジナルのグリオーマ幹細胞株を樹立すべく、摘出した腫瘍の一部からグリオーマ幹細胞の抽出を行っています。数種類の細胞株が樹立できれば、幹細胞をターゲットとした新たな治療法の開発や治療抵抗性のメカニズムの解明などに関する研究がさらに加速すると期待されます。

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